都会の雪|詩

都会の雪|詩

都会の雪|詩

2022/1/28

夜、都会でたった一日だけ雪が降ると、 もはや寂しさはなくなった。 白というのは、それだけで光っているように見える。 ひときわ哀しそうにも見える。 その白が寂しさを吸収して、 僕たちの狭い心の枠を、ほんのすこしだけ、 一ミリか二ミリくらい広げる。 その光に照らされたのは、子供と大人のあいだの、 ちょっぴりゆるんでぐずついた、陰影。 街灯ではない、滅んでいなかったのは。 僕の体温だった。 体温であり、記憶だった。 誰のものでもない、もしかしたら 自分のものでさえないかもしれない涙が、 熱を奪われても、泣いている。 涙が、泣いている。 白さが愛の象徴のように感じてしまった。 そうして、どこでもなくなった「ここ」が、 「ここ」になる。 冷たいことがこんなにも温かいなんて、 知らなかったなあ。
僕のなかにある街。 僕のなかで真っ白になっていく道々。 毎日、「今日」がふたたびやって来るということ。 覚えているということ。 自分がいつか滅ぶことを知っているということ。 すべてが白に覆われて、どこか遠いやさしさに 繋がっているといい。 神様、どうか僕を、置いていってください。

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